債務整理を行う時の弁護士・司法書士のメリットとは

債務整理を依頼する際には、弁護士または司法書士に依頼します。

弁護士も司法書士も法律のプロですが、どちらに依頼した方が良いのか悩まれている方も多いでしょう。

そこで今回は弁護士の方が良い理由や、どんな時に司法書士に依頼することも検討するのかを紹介していきます。

また債務整理で失敗しないための信頼できる事務所の選び方についても触れていきますので、事務所選びで困っている方は参考にしてみてください。

債務整理の代理人を弁護士や司法書士に依頼するメリットについて

債務整理を弁護士や司法書士に依頼することには、主に3つのメリットがあります。

まず、豊富な知識を持った専門家に任せることで、時間や手間をかけなくても、手続きを円滑に進めることができます。

また、以後の債権者との対応は代理人が行うことになるため、貸金業者からの取り立てが止まります。職場や家庭への直接請求がなくなるので、心の負担も軽くなるでしょう。

さらには、もし裁判になった場合も、そのまま手続きを任せることができます。

裁判は基本的に平日の昼間に行われるものですが、わざわざ仕事を休まなくても、債務整理を進めることができます。

債務者にとってのベストな方法を考え、複雑な手続きや交渉を代わりに行ってくれる専門家は、頼もしい存在になってくれます。

弁護士と司法書士の領域の違いと特徴について

弁護士と司法書士の違い

弁護士と司法書士はどちらも法律業務を行っていますが、大きな違いがあります。

それは司法書士には扱える法律業務の制限があることです。

司法書士は借金額が140万円を超える案件は代理人となることができません。また、簡易裁判所でしか裁判へ同行できません。

請求額が大きい場合や個人再生、自己破産は司法書士では裁判所へ同行できず、書類を作成する書類作成代理人となります。

弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼した時の最大のメリットは、法律業務に制限がないことです。

任意整理・個人再生・自己破産、どの債務整理でも最初から最後までサポートして貰えます。途中で専門家を雇い直すことがなく、余分な費用を抑えられます。

裁判所に代理人として同行してくれるので、自分で賃金業者と交渉する必要がありません。

高度な専門知識と技術を生かして、借金を大幅に減額できると言えるでしょう。

司法書士に依頼するメリット

司法書士は制限が設けられていますが、弁護士よりも費用が安い傾向にあるというメリットが存在します。

140万円以下の任意整理を司法書士へ依頼すれば、得られる利益が多くなります。

費用の相場は司法書士が20万～30万円であるのに対して、弁護士は30万～40万円です。

司法書士に依頼した方が約10万円も費用を抑えることができます。

また、地域の隔たりがなく依頼しやすいのも司法書士のメリットです。

弁護士事務所は都心から離れると事務所が少ないという特徴があります。司法書士はさまざまな場所に事務所を構えているため、交通費を抑えることができます。

また地域密着型の司法書士は依頼者の想いに寄り添った対応をしてくれる所が多いです。司法書士と二人三脚で債務整理の手続きを行うことができます。

債務整理は弁護士と司法書士のどちらを選択すれば良いの？

自己破産・個人再生をするなら弁護士

債務整理の中でも、自己破産や個人再生については、弁護士に依頼します。理由は、司法書士では、対応することができない債務整理のためです。

自己破産や個人再生については、地方裁判所に申し立てることが必要になり、司法書士は代理人になることができません。そのため、弁護士に依頼することが必要なです。

140万円以下の任意整理なら司法書士も検討する

債務整理の中でも任意整理であれば、司法書士に依頼することも可能です。

任意整理については、司法書士でも代理人として債権者との交渉にあたることができます。

司法書士の場合は、総額で140万円までという決まりがあるので、借入金が少ないなら司法書士に依頼してみるのも良いかもしれません。 “

債務整理は基本的に弁護士に依頼した方が良い

債務整理は、弁護士や司法書士などに依頼することが極めて有意義な方法であるといえるでしょう。

費用や手数料、報酬などがかかることにはなりますが、安心感を得ることができます。

弁護士と司法書士はいずれも法律の専門家であることは間違いありませんが、業務として受けることができる範囲は異なりますので、しっかりと理解しておくことは大切です。

自己破産や個人再生については、弁護士でなくては、代理人としての業務を受けることができません。そのためあまりにも金額が多い場合や、個人再生、自己破産を検討している方は弁護士へ相談してください。

弁護士や司法書士の専門家にかかる依頼費用のまとめ

任意整理の費用

任意整理を弁護士に依頼する場合には、相談料、着手金、成功報酬（解決報酬）、減額報酬が必要になります。

着手金は、依頼を受けたときに支払うお金で、成功に有無に限らず必要です。3万から5万円が相場です。

成功報酬は、債務整理が無事完了したときに支払う報酬で、原則1社あたり2万円以下と決められています。

減額報酬は、減額できた金額に対して歩合制で支払う報酬です。減額報酬も決められていて上限が10％です。相談料は、ほとんどかからず、無料にしている事務所も多くなります。

なお、借金額が140万以下の場合は、司法書士でも手続きができるため、弁護士に依頼するよりも、費用が安くなる傾向があります。

個人再生の費用

個人再生を弁護士に依頼した場合は、着手金、報奨金が必要になります。

着手金の相場は、30万円前後、報奨金は、0から20万円です。

なお、住宅ローン特則を利用する場合は、その手続き費用として10万円程度追加でかかります。住宅ローン特則は、住宅ローンを残したい場合に利用します。

また、弁護士に支払う費用以外に裁判費用として、申立手数料2万2千円、個人再生委員がいる場合は、15万円から25万円が必要です。 ただし、個人再生委員が必要かどうかは裁判所によって変わります。

また、個人再生委員の費用は申立が本人か弁護士かで金額が変わる傾向があります。

自己破産の費用

自己破産を弁護士に依頼した場合は、着手金、報酬金が必要になります。

着手金の相場は、30万円前後、報奨金は、0から20万円です。

また、財産を売却して債権者に分配する管財事件の際には、予納金費用が発生します。

予納金は負債総額によって決まっていて、少額管財であれば20万からになります。

さらに、裁判費用として、申立手数料1500円程度、予納金20万から50万円、郵便費用数千円が必要です。ただし、予納金が20万円からになるのは少額管財の場合で、弁護士ではなく本人が申立を行うと通常管財になることが多く、予納金が50万円以上になります。

弁護士や司法書士の事務所の見極め方ポイントとは

信頼できる事務所か見極めることに手を抜かない

借金が膨らみすぎて返済が滞ってしまった場合は何らかの債務整理をする必要があります。

債務整理は債務者本人が手続きを行うこともできますが、基本的には弁護士や司法書士などの専門家へと依頼することになります。

どの弁護士・司法書士事務所へと依頼するかは、見極めなければ不利益をこうむることもあります。

なかには金儲けを第一とする悪徳事務所もあり、依頼者の利益を追求せずにあとから不当に費用を請求してくることもあります。

弁護士や司法書士は、役所や弁護士会が主催する相談会をはじめインターネットなどで探すことができますが、悪徳事務所を避けるためには、実際に相談してみたときの相手の対応などを総合した印象を第一として決めることが勧められます。

債務整理の実績があるか事務所か確認する

債務整理を依頼する弁護士や司法書士などの専門家を選ぶ際の基準となるポイントは、債務整理の実績がある事務所かどうかを確認するということです。

弁護士や司法書士の関わることができる業務というものは幅広く、ひとりの弁護士や司法書士がすべての分野において同等の経験を積んでいくことは難しいため、それぞれの専門分野というものを持っています。

相談した弁護士が債務整理を専門としておらず、実績がない場合ももちろんあります。

前提として債務整理を専門としている事務所を選び、そのうえで大手の消費者金融業者との訴訟経験があるような事務所を選ぶと満足のいく結果が得られる可能性が高くなります。

これらの実績などは、その事務所のホームページやパンフレットに記載されているので確認しましょう。

料金体系や費用の説明がわかりやすいか

弁護士や司法書士へと依頼するときはできるだけ費用を安く済ませたいです。

しかし、なかには悪徳事務所もあり、最初に着手金だけを請求し、和解成立後に突然追加費用を請求する場合もあります。

そのようなことにならないように、あらかじめ料金について質問をしてみて明確な答えが返ってこない事務所は避けるべきです。

しかし、債務整理を依頼した際の費用は実際に完了してみないと正確な数字が分からないこともあります。

手続き完了後に不当な費用を請求されないよう、債務整理を依頼する前に見積もりを算出してもらうこともひとつの手です。また、口頭での料金説明では後々もめる原因にもなるので契約書を作成してもらうことも大切です。

費用は相場と比べて高くないか

債務整理を弁護士や司法書士へと依頼する際にかかる費用には、上限が定められていません。

以前は司法書士会や弁護士会から報酬基準が定められていましたが、現在はなく各事務所で自由に設定できるようになっています。

そういっても相場というものがあるので、報酬が適正な相場の範囲内に収まるのかどうかも重要な判断基準です。

あらかじめ弁護士や司法書士へと依頼した際にかかる費用の相場を、債務整理の種類ごとに調べ、その相場と比較して極端に高くもなく、また安くもない事務所を選びましょう。

法テラスを活用できるか確認する

債務整理を行いたいけれど、弁護士や司法書士へと支払うお金がない場合には二の足を踏んでしまいます。

専門家の方でも依頼人がお金に困っていることを知っているので分割払いや後払いを取り入れている事務所もありますが、それでも支払い能力に不安がある場合は法テラスが活用できる事務所を選べば安心です。

法テラスは法に関する問題に対応する公的な機関であり、民事法律扶助制度を活用できると費用を立て替えてもらうことができます。また、自己破産手続きであれば費用を負担してもらうこともできます。

法テラスの制度を利用する場合は、法テラスの事務所に相談して紹介してもらうこともできますが、法テラスに登録している法律事務所を見つけて依頼することもできます。

まとめ

債務整理を行う上で専門家に依頼する場合、取り扱い範囲の広さから言って基本的には弁護士に依頼するのが良いと言えるでしょう。

自己破産や個人再生など債務額が比較的大きい場合はそもそも弁護士しか取り扱う事が出来ませんが、140万円以下の小規模債務であり費用を少しでも安くしたいケースでは司法書士を頼る事も選択肢の一つです。

各債務整理法の専門家費用にはおおよその相場があるので確認しておく事も大切です。

すべての弁護士や司法書士が債務整理を専門に扱っている訳ではないので、債務整理を依頼する際には実際に面談して信頼出来るかどうか、債務整理の実績はあるかどうか、報酬などの料金は適正であるかどうかなど自分の目で確かめて依頼先を決定するようにしましょう。